大学・学生と地域の協働の罠
久しぶりに書きます。
本日は、大学生と地域の協働(?)について思うことを書きます。最初にここで指す地域は、「高齢化率が高く地域コミュニティが機能していない」というような課題を抱えるところです。私の所属する大学もそうなんですが、「学生の力で地域活性化」とか「大学と地域の協働」みたいなのが最近やたら行われているように感じます。学生が過疎地域に行って町おこしをする留学・インターンもあるようです。海外に留学する人は昔からいましたが、日本の中の地域に留学・インターンをする人がでてきたのは興味深いことです。
さて、この大学・学生と地域の協働ですが、「いいことだ」という風に語られることが多いように感じます。「若者が地域を元気にする」、「学生の学びの場」、「地域コミュニティの復活!」などと語られるのではないでしょうか。
確かにすばらしいことです。そのような状態が「継続」されればですが。
ある学生が地域の中で何か始める
↓
一定の成果をあげる
↓
ある学生が就活に入る・卒業
↓
続かない
この上記のパターンがかなり多くあると聞きますし、実際私もそのような姿を何度か目にしました。学生が学生として何かできるのは、特殊な事情を除けば4年間です。そこから就活やバイトなども考慮するともっと時間は少ないはずです。また、ある学生が後輩に活動を継続していくことも結構大変なことです。
ここまで、学生側の現状を見てきましたが、地域住民はどうでしょう。
学生と地域の協働が始まる
↓
だんだんと学生がいることに慣れてくる
↓
学生がただの労働力に
↓
学生がいなくなる
↓
元通り・悪化
上記のパターンがあると聞きます。私は、この状況を別に地域住民に非があるとは思いません。「まあ、そうだよなあ」と思います。高齢者が多く地域行事を担う人はおらずまた、地域コミュニティ(自治会など)がさほど機能しているわけでもないところに学生が来ても、学生を受け入れる体制はないし、学生と一緒に何かやる人も少ないのが当然です。そのような状況で地域振興とか地域おこしは、ただの学生の労働力確保にしかならず、結局何も変わることはないのです。
では、どうすればいいのでしょうか。
・大学・学生と地域の間にコーディネーターが入る
コーディネーターがいれば、学生と地域の活動の継続性はグッと高まるし、学生と地域の間にあるトラブルの回避・解決にもつながります。大学によっては、ボランティアコーディネーターを置いているところや自治体によってもその類の人がいる場合があるが、そのような人の存在が不可欠です
・やらない
何もしない方がかえっていいということもあります。中途半端に終わるぐらいなら学生は地域で何かやるよりも、やることがあると思います。また、地域も中途半端に盛り上がるくらいなら、それまで通り暮らしてた方がいいかもしれません。何というか、地域振興や地域おこしがただの啓蒙になりかねないと思います。
これといった解決策があるわけではありませんが、ただ現在の大学・学生と地域の協働を安易に良いことだと考えるのは早計ではないでしょうか。一過性のもので終わってしまうと、大学・学生と地域の両者にとってかえって良くない結果として残ってしまいます。継続というところがポイントですが、なかなか難しいのが現状です。