留学ができる環境ってあるの?
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トビタテ!留学JAPANという、文部科学省が官民共同で高校生や大学生の留学を促進するキャンペーンらしい。目的を見てみると、「意欲と能力ある全ての日本の若者が、海外留学に自ら一歩を踏み出す気運を醸成すること」と書かれている。そして、東京オリンピック・パラリンピックがある、2020年までに今の留学生(大学生6万人・高校生3万人)を倍の数に増やすことが目標だそうだ。
私の周りにも留学をしていた人やする予定の人はいるが、そもそも何故、留学をしようと考えるのだろうか。いろいろと眺めていると、語学力や海外での生活の経験や海外でしかできない経験をしたいなどが理由としてあった。まあ理由としては納得できる。私は、留学の経験や海外に行った経験はないが、例えば英語を身につけようと思えば、英語圏の国や地域に行って生活した方が身に着くと思うし、海外でしかできない経験なんかもあるんだと思う。
また、留学して何が身に着いたのかということもいろいろと眺めていると、語学力がついたとか異文化に対する理解が深まったなどがあった。概ね、留学をしたいという動機と身に着くことや学べることは一致しているのかなあと思う。
なるほど、留学すれば語学力や異文化に対する理解力が得られるのか。ならば、留学してみようとならないのが私であるしそういう人は数多くいると思う。その理由とは何かというのを挙げていきたい。
やはり一つは、「経済的な理由」が挙げられる。まず、日本人で大学に行く人、いわゆる大学進学率なんかを見ると大体50%程度である。この数字は国際比較をしても低い水準にあるし、2010年以降この数字が頭打ちになっていることを見ると今後、急激にこの数字が上がるとは考えにくい。それもそのはず、日本の大学の学費はヨーロッパ諸国と比較して高い。そこに、大学入学までかかる教育費なんかも入れると日本の教育費がとにかく高いことが分かる。それでいて、留学をしようとするとさらにお金がかかる。特に、アメリカは大学の授業料が高いので有名だ。
それならば、「奨学金を利用すればいいじゃないか」という声が聞こえそうだが、日本学生支援機構のホームページを見ると、注意として、「奨学金を申請しても採用の合否まで最低でも数か月から1年かかる」と書かれているしまた、「留学費用を全てカバーできる奨学金はほとんどありません」とも書かれている。こういうのを見ると奨学金を利用することが簡単だとは述べられない。
経済的に、苦しい立場にある人は、文部科学省の言うところの、「意欲と能力」があったとしても留学をするということは難しいのが現状であるだろう。
このような理由の他にも、就職活動への影響や語学力不足なども挙げられるだろう。そして、これだけ様々な留学が難しい理由があるにも関わらず、「留学を積極的にしよう」という風潮が高まっているのには大いに疑問を感じざる得ないし、そういう風潮が私が留学しようと思わない理由の一つでもある(笑)。
また、トビタテ!留学JAPANのホームページには、留学生の体験記や教育機関の声として東洋大学の取り組みが紹介されている。留学生の体験記は、税所さんという国際教育支援NGOをされている方の留学に至った理由から、現地での経験、留学を考えている人へのアドバイスが書かれている。東洋大学の取り組みの方は、大学としてのグローバル人材の育成的なことが書かれている。
前者の方は、素直にすごいなあと思うし留学を考えている人なんかは読むとモチベーションが上がるのだろうなと思う。もちろん、すべてを真に受けすぎるとあれだが。
後者の方に関しては、「これは・・・」と思うところがあった。この文章の見出しに、「できるかできないか」ではなく「やるかやらないか」であると書かれているがどこまで意味があるかは分からないがこういう意識で、「留学をしよう」と語られるのには怖さがある。「やるかやらないか」の前に、先に述べた経済的理由など様々な理由で留学が困難な人たちに目を向けなければならない。そこに目を向けなければ、留学をする人が増えるどころか、留学をする人は減り、一部の経済的に恵まれた人やエリート層のものになってしまうのではないだろうか。
留学でグローバル人材の育成をと言う前に、経済的な理由で留学やそもそも就学が困難な人やそれ以外の様々な理由に目を向けていかなければ、文部科学省が掲げる目標が達成されることはないだろう。
参考文献
トビタテ!留学JAPAN - その経験が、未来の自信。 - 体験談
トビタテ!留学JAPAN - その経験が、未来の自信。 - 教育のグローバル化最前線
http://www.jasso.go.jp/about/documents/akirakobayashi.pdf